相続について

相続について


不動産相続対策

日本の高齢化率は、2013年には25%、2017年には27%と年々増加し、超高齢社会に突入しています。また65歳以上の高齢者だけの平均年齢も毎年上昇傾向にあり、被相続人の相続発生時の年齢が高くなっています。これらは、一般的な老老相続と呼ばれ、相続人の一人となる配偶者は、圧倒的に高齢の女性が多くなることが分かっています。さらに高齢のため次の相続が近くなり、連続して相続が発生する可能性も高まっています。単なる2次相続対策だけでなく、孫などの直径卑属も含めた3次、4次相続までを想定した相続対策が考えておかなければならない状況です。
高齢社会がさらに進展すると、高齢者に占める女性の割合がさらに高くなり、男性が遺した相続財産を女性が今後の自らの人生設計に役立てていくかが今後のテーマといえます。
日本の個人の冨(純金融資産+不動産)の65%から70%近くは高齢者世帯が保有していると言われています。さらに相続財産のうち、不動産の占める割合は65%程度を占めています。※不動産を時価で評価した場合
金融資産が少なく不動産が多くある世帯は、納税資金が潤沢にあるわけではなくので、相続の際にの納付が困難になるケースが多くあります。

相続税法と民法の違い

相続財産の範囲や相続財産の評価など、相続税法と民法では取扱いが異なります。
例えば生命保険金や死亡退職金などは相続税法では相続財産となるが、民法では基本的に相続財産にはなりません。
また土地の評価も相続税法では路線価、民法では実勢価格で判断されます。
何が言いたいかというと民法は争族にならないために考えておくべき法律なのに対して、相続税法は税金の算出法や税の負担を考えて対応する法律ということです。相続に関するコンサルティングを行う場合には、税理士や司法書士など専門家を交えてうまくコーディネートしていくことが重要です。

相続はプラスの財産ばかりじゃない

不動産所有者の中には資金調達を借入金に依存したケースもあり、相続した不動産がを担保にして新たに資金調達する高齢者も少なくありません。家賃収入などでフローが回転しているうちは良いですが、賃料低下や空室率のアップ、金利の上昇、修繕などの発生によりキャッシュフローがマイナスになり、この段階で相続が発生するとマイナス財産の継承になってしまいます。

今後20~30年の間には、相続により不動産や金融資産の移動が大幅に発生すると予想されます。所得税は個人の生前の収入に対する課税であるのに対し、相続税は所得税で所得を捕捉できなくても最後の相続の段階で精算できるという意味で所得税の精算課税といわれています。今後は所得を勤労所得と金融所得に二分しそれぞれを損益通算して課税するよな流れに移行してます。
一方、贈与税は相続税の補完税の役割と経済の活性化という政策上の観点から緩和傾向にあります。相続税の強化と贈与税の緩和は、消費税増税などの税制面の整備とともに、財産の再分配と経済活性化という両面から重要な視点になることは間違いないです。

不動産相続は争族になるケースが多い

不動産相続は最も親族や相続人の争いになりやすいです。その理由として
・不動産の相続税評価額は路線価方式で計算されるため、民法的分割である時価を要求する相続人の間で意見が一致しないこと。
・公平に分けようとするには、不動産を処分して現金化しなければならいないこと。
・相続税法には物納という制度があり、不動産をそのまま納税に充てることもできるため、処分方法について意見が分かれること。
などがあげられます。

①贈与税の計算と税率(暦年課税)

贈与税の計算は、まずその年の1月1日から12月31日までの1年間に贈与によりもらった財産の価額を合計致します。続いて、その合計額から基礎控除額110万円を差し引きます。次にその残りをの金額に税率を乗じて税額を計算します。ここでは計算に便利な速算表を掲載致します。速算表の利用にあたっては基礎控除額の110万円を差し引いた後の金額を当てはめて計算して下さい。それにより贈与税額が分かります。※2018年4月1日現在法令等

贈与税の速算表

2015年以降の贈与税の税率は、次のとおり「一般贈与税財産」と「特例贈与財産」に区分されました。

【一般贈与財産用】(一般税率)

この速算表は、「特例贈与財産用」に該当しない場合の贈与税の計算に使用します。例えば、兄弟間の贈与、夫婦間の贈与、親から子への贈与で子が未成年者の場合などに使用します。

【一般贈与財産用」】の計算方法
例えば、次のような贈与の場合に、この計算方法となります。
・直系尊属以外の親族(夫、夫の父や兄弟など)や他人から贈与を受けた場合
・直系尊属から贈与を受けたが、受贈者の年齢が財産の贈与を受けた年の1月1日現在において20歳未満の者の場合(20歳未満の子や孫の場合)
(例) 贈与財産の価額が500万円の場合(「一般税率」を使用します。)
基礎控除後の課税価格 500万円 - 110万円 = 390万円
贈与税額の計算 390万円 × 20% - 25万円 = 53万円

【特例贈与財産用】(特例税率)

この速算表は、直系尊属(祖父母や父母など)から、その年の1月1日において20歳以上の者(子・孫など)※への贈与税の計算に使用します。
※ 「その年の1月1日において20歳以上の者(子・孫など)」とは、贈与を受けた年の1月1日現在で20歳以上の直系卑属のことをいいます。
例えば、祖父から孫への贈与、父から子への贈与などに使用します。(夫の父からの贈与等には使用できません)

「特例贈与財産」の計算方法
例えば、財産の贈与を受けた年の1月1日現在において20歳以上の子や孫が父母又は祖父母から贈与を受けた場合に、この計算方法となります。
(例) 贈与財産の価額が500万円の場合(「特例税率」を使用します。)
基礎控除後の課税価格 500万円 - 110万円 = 390万円
贈与税額の計算 390万円 × 15% - 10万円 = 48.5万円

「一般贈与財産用」と「特例贈与財産用」の両方の計算が必要な場合

例えば、20歳以上の方が、配偶者と自分の両親の両方から贈与を受けた場合などに、この計算となります。
この場合には、次のとおり計算します。

全ての財産を「一般税率」で計算した税額に占める「一般贈与財産」の割合に応じた税額を計算します。

全ての財産を「特例税率」で計算した税額に占める「特例贈与財産」の割合に応じた税額を計算します。

(例) 一般贈与財産が100万円、特例贈与財産が400万円の場合の計算

 この場合、まず、合計価額500万円を基に次のように計算します。

(全ての贈与財産を「一般贈与財産」として税額計算)

500万円 - 110万円 = 390万円

390万円 × 20% - 25万円 = 53万円

(上記の税額のうち、一般贈与財産に対応する税額(一般税率)の計算)

53万円 × 100万円 / (100万円+400万円) = 10.6万円…

次に「特例贈与財産」の部分の税額計算を行います。

 この場合も、まず、合計価額500万円を基に次のように計算します。

(全ての贈与財産を「特例贈与財産」として税額計算)

500万円 -110万円 = 390万円

390万円 × 15% - 10万円 = 48.5万円

(上記の税額のうち、特例贈与財産に対応する税額(特例税率)の計算)

48.5万円 × 400万円 / (100万円 + 400万円) = 38.8万円…

(贈与税額の計算)

 贈与税額 = 一般贈与財産の税額 + 特例贈与財産の税額

上記の場合 10.6万円 + 38.8万円 = 49.4万円…贈与税額

(相法21の2、21の5、21の7、措法70の2の4、70の2の5)

暦年課税

贈与税は、一人の人が1月1日から12月31日までの1年間にもらった財産の合計額から基礎控除額の110万円を差し引いた残りの額に対してかかります。

したがって、

1年間にもらった財産の合計額が110万円以下なら贈与税はかかりません

(この場合、贈与税の申告は不要です。)

相続時精算課税

「相続時精算課税」を選択した贈与者ごとに

その年の1月1日から12月31日までの1年間に贈与を受けた財産の価額の合計額から2,500万円の特別控除額を控除した残額に対して贈与税がかかります。

 なお、この特別控除額は贈与税の期限内申告書を提出する場合のみ控除することができます。 また、前年以前にこの特別控除の適用を受けた金額がある場合には、

2,500万円からその金額を控除した残額がその年の特別控除限度額となります。

申告と納税
贈与税がかかる場合及び相続時精算課税を適用する場合には、財産をもらった人が申告と納税をする必要があります。申告と納税は、財産をもらった年の翌年2月1日から3月15日の間に行ってください。

 なお、相続時精算課税を適用する場合には、納税額がないときであっても財産をもらった年の翌年2月1日から3月15日の間に申告する必要があります。

 税金は金銭で一度に納めるのが原則ですが、贈与税については、特別な納税方法として延納制度があります。

 延納は何年かに分けて納めるものです。

 この延納を希望する方は、申告書の提出期限までに税務署に申請書などを提出して許可を受ける必要があります。

②相続税のしくみ

贈与税がかかる場合及び相続時精算課税を適用する場合には、財産をもらった人が申告と納税をする必要があります。申告と納税は、財産をもらった年の翌年2月1日から3月15日の間に行ってください。

 なお、相続時精算課税を適用する場合には、納税額がないときであっても財産をもらった年の翌年2月1日から3月15日の間に申告する必要があります。

 税金は金銭で一度に納めるのが原則ですが、贈与税については、特別な納税方法として延納制度があります。

 延納は何年かに分けて納めるものです。

 この延納を希望する方は、申告書の提出期限までに税務署に申請書などを提出して許可を受ける必要があります。

相続税の税率

[平成30年4月1日現在法令等]

相続税額の算出方法は、各人が相続などで実際に取得した財産に直接税率を乗じるというものではありません。

 正味の遺産額から基礎控除額を差し引いた残りの額を民法に定める相続分により按分した額に税率を乗じます。この場合、民法に定める相続分は基礎控除額を計算するときに用いる法定相続人の数に応じた相続分(法定相続分)により計算します。

 実際の計算に当たっては、法定相続分により按分した法定相続分に応ずる取得金額を下表に当てはめて計算し、算出された金額が相続税の総額の基となる税額となります。

相続税の税率

「相続の開始の日(被相続人の死亡の日)」により、次のとおりとなります。

この速算表で計算した法定相続人ごとの税額を合計したものが相続税の総額になります。

なお、平成26年12月31日以前に相続が開始した場合の相続税の税率は上記と異なります。(相法16、平25改正法附則10)

相続税の計算

[平成30年4月1日現在法令等]

相続税の一般的な計算は、次の順序で行います。

1 各人の課税価格の計算

まず、相続や遺贈及び相続時精算課税の適用を受ける贈与によって財産を取得した人ごとに、課税価格を次のように計算します。

(注)

1 相続時精算課税の特定贈与者(相続時精算課税に係る贈与者をいいます。)が死亡した場合には、相続時精算課税の適用者(受贈者)が特定贈与者から相続又は遺贈により財産を取得しない場合であっても、相続時精算課税の適用を受けた贈与財産は相続又は遺贈により取得したものとみなされ、贈与の時の価額で相続税の課税価格に算入されることになります。

2 相続又は遺贈により財産を取得した相続人等が、相続開始前3年以内にその被相続人からの暦年課税に係る贈与によって取得した財産の価額をいいます。

2 相続税の総額の計算

相続税の総額は、次のように計算します。

イ 上記1で計算した各人の課税価格を合計して、課税価格の合計額を計算します。

 各相続人の課税価格の合計 = 課税価格の合計額

ロ 課税価格の合計額から基礎控除額を差し引いて、課税される遺産の総額を計算します。

課税価格の合計額 - 基礎控除額(3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数)

= 課税遺産総額

(注)

 法定相続人の数は、相続の放棄をした人がいても、その放棄がなかったものとした場合の相続人の数をいいます。

 法定相続人のなかに養子がいる場合の法定相続人の数は、次のとおりとなります。

(1) 被相続人に実子がいる場合は、養子のうち1人までを法定相続人に含めます。

(2) 被相続人に実子がいない場合は、養子のうち2人までを法定相続人に含めます。

ハ 上記ロで計算した課税遺産総額を、各法定相続人が民法に定める法定相続分に従って取得したものとして、各法定相続人の取得金額を計算します。

課税遺産総額 × 各法定相続人の法定相続分 = 法定相続分に応ずる各法定相続人の取得金額(千円未満切り捨て)

ニ 上記ハで計算した各法定相続人の取得金額に税率を乗じて相続税の総額の基となる税額を算出します。

法定相続分に応ずる各法定相続人の取得金額 × 税率 = 算出税額

ホ 上記ニで計算した各法定相続人の算出税額を合計して相続税の総額を計算します。
各法定相続人の算出税額の合計=相続税の総額
 

3 各人ごとの相続税額の計算

上記2で計算した相続税の総額を、財産を取得した人の課税価格に応じて割り振って、財産を取得した人ごとの税額を計算します。

相続税の総額 × 各人の課税価格 ÷ 課税価格の合計額 = 各相続人等の税額

4 各人の納付税額の計算

上記3で計算した各相続人等の税額から各種の税額控除額を差し引いた残りの額が各人の納付税額になります。

 ただし、財産を取得した人が被相続人の配偶者、父母、子供以外の者である場合、税額控除を差し引く前の相続税額にその20%相当額を加算した後、税額控除額を差し引きます。

 なお、子供が被相続人の死亡以前に死亡しているときの孫(その子供の子)については、相続税額にその20%相当額を加算する必要はありませんが、子供が被相続人の死亡以前に死亡していない場合の被相続人の養子である孫については加算する必要があります。

 各種の税額控除等は次の順序で計算します。

(注) 相続時精算課税分の贈与税相当額を控除した結果、赤字の場合又は「0」のときには、医療法人持分税額控除額は「0」となります。

※ 各相続人等の納付すべき税額が赤字の場合

(相法11~20の2、21の9~16、33の2、措法70の7の13、相基通16-1~16-3、19-11、20の2-4)

贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)

[平成30年4月1日現在法令等]

 相続などにより財産を取得した人が、被相続人からその相続開始前3年以内(死亡の日からさかのぼって3年前の日から死亡の日までの間)に贈与を受けた財産があるときには、その人の相続税の課税価格に贈与を受けた財産の贈与の時の価額を加算します。

 また、その加算された贈与財産の価額に対応する贈与税の額は、加算された人の相続税の計算上控除されることになります。

 加算される価額の基になる贈与財産の範囲と控除する贈与税額は次のとおりです。

※ 被相続人から相続や遺贈により、租税特別措置法第70条の2の3(直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税)第10項第2号に規定する管理残額以外の財産を取得しなかった人(相続時精算課税に係る贈与によって財産を取得している人を除きます。)については、相続開始前3年以内に被相続人から暦年課税に係る贈与によって取得した財産であってもその価額は、相続税の課税価格に加算されません。

1 加算する贈与財産の範囲

 被相続人から生前に贈与された財産のうち相続開始前3年以内に贈与されたものです。3年以内であれば贈与税がかかっていたかどうかに関係なく加算します。

 したがって、基礎控除額110万円以下の贈与財産や死亡した年に贈与されている財産の価額も加算することになります。

2 加算しない贈与財産の範囲

 被相続人から生前に贈与された財産であっても、次の財産については加算する必要はありません。

(1) 贈与税の配偶者控除の特例を受けている又は受けようとする財産のうち、その配偶者控除額に相当する金額

(2) 直系尊属から贈与を受けた住宅取得等資金のうち、非課税の適用を受けた金額

(3) 直系尊属から一括贈与を受けた教育資金のうち、非課税の適用を受けた金額

(4) 直系尊属から一括贈与を受けた結婚・子育て資金のうち、非課税の適用を受けた金額

3 控除する贈与税額

 控除する贈与税額は、相続税の課税価格に加算された贈与財産に係る贈与税の税額です。ただし、加算税、延滞税、利子税の額は含まれません。

※ 相続時精算課税の適用を受けている者の贈与財産の価額の加算と税額控除については、相続時精算課税の選択で説明しています。

(相法19、21の2~6、相令4、措法70の2、70の2の2~5、相基通19-1、19-2)

 

相続税の課税対象になる死亡保険金 ※[平成30年4月1日現在法令等]

被相続人の死亡によって取得した生命保険金や損害保険金で、その保険料の全部又は一部を被相続人が負担していたものは、相続税の課税対象となります。

 この死亡保険金の受取人が相続人(相続を放棄した人や相続権を失った人は含まれません。)である場合、全ての相続人が受け取った保険金の合計額が次の算式によって計算した非課税限度額を超えるとき、その超える部分が相続税の課税対象になります。

500万円 × 法定相続人の数 = 非課税限度額

なお、相続人以外の人が取得した死亡保険金には非課税の適用はありません。

(注)

1 法定相続人の数は、相続の放棄をした人がいても、その放棄がなかったものとした場合の相続人の数をいいます。

2 法定相続人の中に養子がいる場合、法定相続人の数に含める養子の数は、実子がいるときは1人、実子がいないときは2人までとなります。

法定相続人の数に含める養子の数の制限については、相続人の中に養子がいるときを参照してください。

各人に係る課税金額

各相続人一人一人に課税される金額は、次の算式によって計算した金額となります。

(注) この計算は、相続税の申告書第9表「生命保険金などの明細書」を使用すると分かりやすく便利です。

(相法3、12、15)

弊社事務所(早稲田駅)で先生をお呼びして、個別無料相談会を定期的に行っておりますので、お気軽にご相談下さい。

相続について

この記事が気に入ったらいいね!しよう

マガジン