待ったなし民法改正
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- 2019-11-02
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民法改正が不動産取引に与える影響について
「原始的不能」
原始的不能とは、契約の時に目的物が既にない場合、現行では無効ですが、改正法では有効となります。
その結果、契約の時にものがなかったことを知らずに売主が契約をした場合、違約金の定めがあれば、今後は契約違反と言うことで重い責任が問われる可能性があります。
「危険負担物件」
引き渡しまでの間に台風や地震などで、ものがなくなってしまった場合、その危険をどちらが負担するかと言う問題についてですが、これについても現在の民法ではそのような危険は買主が負担することになっていますが、改正法では売主が危険を負担するなります。
「瑕疵担保責任」
瑕疵担保責任は契約不適合責任に変わります。
瑕疵担保責任とは、売主の買主に対する責任です。民法570条には売買の目的に隠れた瑕疵があったときは、売主は買主に責任を負うとしています。
今回の民法改正では、瑕疵担保責任が契約不適合責任となることによって、法的責任から契約責任に変わるということを意味しています。
契約不適合と言うことで、信頼利益ではなく履行利益の問題になりるのです。履行利益とは契約違反と相当因果関係にある全ての損害を請求する権利のことをいいます。つまり契約不適合が認められると売主の責任は重くなります。
今回の契約不適合というのは、売主が善意の場合であっても、責めに帰すべき事由があって履行利益が問題とされてしまうのではないかと言う懸念があります。
もう一つ大きな改正点として現行では隠れた歌詞があった場合には、買主が取り得る法的手段は2つしかありません。1つは隠れた傷があることことによって実際に契約の目的を達することができない場合には、契約を解除することができます。
もう一つは損害があれば先程の信頼利益の賠償として損害賠償できるという点です。
しかし今回の改正による契約不適合責任では法的手段が2つではなく、5つに増えます。その1つが追完請求権です。これは売主が買主に引き渡したものは、契約と目的に達していないから目的に適合した状態にしてくれという請求権です。これは売主に責めにすべき事由があるないにかかわらず、請求することができます。この追完請求には2通りあります。1つは補修、もう一つが代替物の引き渡しです。
これは例えば壊れている時計を購入した場合、きちんと動くように取り替えて引き渡してをしてほしいという引き渡し請求権です。この追完請求権は今までになかったものですし、売主が一定の期間内にそれを実行しない場合、買主はさらに2つのうち1つを選択することができます。その1つが代金減額請求です。代金減額請求は瑕疵担保責任でいうと信頼利益の賠償の部分にあたります。一定期間内に売主が実行しないのだから払い過ぎたお金を返せという請求権です。
また買主の中にもうこんなものはいらないと思う人もいると思います。その場合は代金減額ではなく催告解除をすることができます。相手が催告をして追加請求に応じない場合には、その相当期間を定め解除することができます。
そして最後に損害賠償請求があります。この損害賠償請求だけは責めに帰すべき事由というものが要求されます。
繰り返しますと追完請求権、代金減額請求権、催告解除、無催告解除、損害賠償賠償請求権です。買主を選択する幅が非常に広くなっているといえます。という事はその分、紛争の論点が増えると言うことになります。
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