いよいよ増税。消費増税の前と後、住宅購入はどっちがお得か?

いよいよ増税。消費増税の前と後、住宅購入はどっちがお得か?

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  • by 太田孝幸
  • 2019-04-30
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M様(東京都新宿区在住 40代)よりご質問
いよいよ増税。消費増税の前と後、住宅購入はどっちがお得か?

2014年の消費税増税の時には、増税前の駆け込み需要がありました。増税後はその反動で消費が落ち込み、住宅市場は大ダメージを受け、日本経済に大きな影響を与えました。
こうした駆け込み需要や反動減をおさえる為、できるだけ平常化を図る為、国は4つの支援策を実施する予定しています。

まず増税となった場合、住宅購入で消費税がかかもの、かからないもの。
【消費税 課税】
・新築住宅の建物部分
・中古住宅(法人からの購入)の建物部分
・仲介手数料
・住宅ローン手数料
【消費税 非課税】
・土地
・中古住宅(個人から購入)の建物部分
・保険料(火災保険、地震保険等)
・ローン保証料
・税金(不動産取得税、固定資産税等)
・修繕積立金(マンションの場合)

消費税は原則引渡時期で適用される税率で決定しますが、契約時に税率が適用される「経過措置」もあります。
例えば、消費税率引き上げ「6ヶ月前」の前日までに契約された注文住宅では、引渡時期等に関係なく契約時の税率が適用されます。
つまり請負契約が「2019年3月31日」までに結ばれた住宅は、たとえ引渡が10月以降であっても8%の税率が適用されます。
この経過措置は、注文住宅に限らず、マンション、建売などの売買契約、リフォーム・リノベーションなどの請負契約も同様に経過措置が受けられます。

【消費税率10%が適用された場合」
2019年10月から2020年12月末までに入居るす住宅については、住宅ローンの減税期間(10年)がさらに3年延長されます。
最初の10年間の住宅ローン控除は年末の住宅ローン残高限度額4000万円(認定住宅等は5000万円)の1%ですが、
11年目から13年目までの住宅ローン控除の計算は以下の通りです。
(住宅ローンの年末残高×1%)もしくは(建物価格×2%÷3)のいずれか低い方が適用されます。

【例:建物部分の価格が3000蔓延の住宅を購入した場合】
2%の消費税増税分は60万円。これを3等分した額の20万円と、借入残高の1%分の少ない方が還付される仕組みとなります。

なお中古住宅を個人間で購入した場合は、建物に対して消費税がかからいない為、控除期間10年で、最大で年間20万円(認定住宅等は30万円)です。


すまいの給付金について

年収510万円以下の人に対して、最大30万円の給付でしたが、増税後は年収775万円以下の人まで対象となり、最大50万円まで拡充される予定です。※2021年末まで。
簡単な収入額に対しての給付額を表にまとめました。下記ご参照下さい。
【消費税率8%の場合】
収入額の目安 給付基礎額
425万円以下 30万円
~475万円以下 20万円
~510万円以下 10万円

【消費税10%の場合】
給付基礎額 給付基礎額
450万円以下 50万円
~525万円以下 40万円
~600万円以下 30万円
~675万円以下 20万円
~775万円以下 10万円

新たな「次世代住宅ポイント制度」
「次世代住宅ポイント制度」は、消費税増税後に住宅を購入する方向けの特典です。
エコ住宅や耐震住宅など、一定性能要件を備えた新築・リフォームを行うと、さまざまな商品と交換できたり、ポイントが付与されます。
ポイントは1戸あたり最大35万円分で、具体的な商品等は公募により決定致します。

「住宅所得資金贈与」が3000万円まで非課税に!?
父母や祖父母など直径尊属から、自ら住む住宅用家屋の取得に充てる資金の贈与は、2019年3月までの非課税は枠は、700万円(一定の基準を満たす省エネ住宅は1200万円)ですが、2019年4月1日から2020年3月31日までに契約し、かつ消費税率10%が適用された場合は2500万円(一定の基準を満たす省エネ住宅は3000万円)に拡大します。
注意点は、贈与を受ける子や孫は20歳以上、合計所得額が2000万円以下。
また床面積が50㎡以上240㎡以下であることも条件です。

中野区お住まいのH様の例

 
住宅 新築建売戸建を購入(建物1500万円、土地3500万円)
住宅ローン 4000万円 35年返済 金利0.6%
元利均等返済なし ボーナス払いなし
単独ローン(ご主人様)

消費税8%の時期と消費税10%の時期のどちらで購入した方が有利か
消費税 8% 10%
住宅ローン減税 約348万円(10年間) 約396万円(13年間)
すまい給付金 0円 10万円
増税分   30万円
合計 約348万円 約376万円

両者を比較すると、消費税が10%に増額した後の方が、28万円お得になりました。さらに次世代住宅ポイントが受けられる物件であれば、さらにお得になります。

あくまで一つのシミュレーションですが、人によっては増税後の方がお得になるケースもありますが、増税前に比べて特段お得とは言えないですが、消費税が上がるからといって増税前に駆け込み購入する明確なメリットは特になさそうです。

「既存住宅」を購入してリノベーションをすれば最大60ポイント

新築の場合は、エコ住宅、長持ち住宅、耐震住宅、バリアフリー住宅などいずれかにあてはまる場合は、1戸当たり30万ポイント(30万円相当額)で、長期優良住宅などはポイントが加算され、35万ポイントになります。
一方それに対して、リフォーム・リノベーションに関しては下記工事内容が対象となります。※1戸当たりの上限は30万ポイントです。
 
内容 ポイント数
断熱改修(内外窓、ガラス) 0.2から2万×箇所数
断熱改修(ドア) 2.4、2.8万×箇所数
断熱改修(外壁) 5、10万
断熱改修(屋根・天井) 1.6、3.2万
断熱改修(床) 3、6万
エコ住宅設備(太陽熱、高断熱浴槽、高効率給湯など) 2.4万
エコ住宅設備(節水型トイレ) 1.6万
耐震改修 15万
バリアフリー(手すり) 0.5万
バリアフリー(段差解消) 0.6万
バリアフリー(廊下幅などの拡張) 2.8万
バリアフリー(ホームエレベーター設置) 15万
バリアフリー(和室の設置) 1.7万
家事負担軽減設備(ビルトイン食洗機、掃除しやすいトイレ、浴室乾燥機) 1.8万
家事負担軽減設備(掃除しやすいレンジフード)7 0.9万
家事負担軽減設備(ビルトン自動調理対応コンロ) 1.2万
家事負担軽減設備(宅配ボックス) 1万
リフォーム瑕疵保険の加入、インスペクションの実施 0.7万
若者・子育て世帯による既存住宅の購入に伴う100万円以上のリフォーム 10万
 
 

安心R住宅を買ってリフォームをすれば最大で45万ポイントです。

特例の基準は、2018年12月21日時点で満40歳未満の若者、または同日辞典で18未満の子供がいるか、申請時点で18未満の子供がいる子育て世代の上限は、1戸当たり45万ポイントまで引き上げられます。
しかも、既存住宅を取得してリフォームをする場合には、上記一覧にあるリフォームのポイントが2倍となる特例が設けられています。
「安心R住宅」とはインスペクションの実施やリフォーム提案が付いていることなどが条件となってります。これはトラブルを防止し、リフォーム・リノベーションや中古住宅流通の促進をするためには有効な制度です。

この制度は、2019年度の予算による時限設置であるので、2020年3月末までの制度になりますが、予算が尽きる場合には、それ以前にお終了する可能性があります。

まずは資金計画をしっかり考え、金利や物件価格の動きをみながら「じっくり買い時」を見極めたいですね!



 
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