民法改正~賃貸偏~

民法改正~賃貸偏~

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  • 2019-11-14
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賃貸借契約の保証人について

今回の法改正では個人補償について、保証人の責任を考えると、重すぎるのではないかという論点から、全ての個人補償については限度額を設けなければ契約の効力がないということになりました。

限度額とは例えば1,000,000円を限度とするなど、いわゆる天井を設けてもらうことになります。この天井の金額について法務省ではいくらでもよいという回答ですが、国土交通省は去年の3月30日にその限度額における参考資料と言うものを公表いたしました。

家賃の額に応じて連帯保証人が最高いくらぐらい保証したか、平均どれぐらいだったかというグラフがあります。

国土交通省HP→ http://www.mlit.go.jp/index.html

「限度額に関する参考資料」と検索して頂くと資料が出てきます。

国土交通省の見解としては、その内容を見ていただき当事者間で話し合って決めてくださいという内容です。今後法改正により保証人をつけると言うことが難しくなり家賃保証会社が増えてくると考えられています。現在保証会社は200社以上あり、変な会社も入ってきているようです。無理な取り立てや追い出し、貸主に支払われないなどのトラブルも出てくるかもしれません。

国土交通省では平成29年より保証外車の登録制度を設けております。一定の要件を備えている会社でしか登録ができませんので、国土交通省のホームページで保証会社のリストに載ってない会社については注意が必要です。

契約締結時情報提供義務

事業用の賃貸借契約については契約締結時の情報提供義務という改正がなされました。事業用の賃貸借契約において賃借人が個人に保証を依頼する場合、改正法460条の10に賃借人が保証人に対して提供しなければならない、情報が具体的に書かれています。賃借人の財産及び収支の状況、主たる債務以外に負担している債務の有無及びその額、及び履行状況、主たる債務の担保として他に提供し、また提供しようとするものがあるときはその旨をその内容についてと記載してあります。

さらに賃貸人が賃借人が保証に提供しなければならない情報を提供しなかったことを知っていた場合、あるいは過失によって知らなかった場合、あるいは誤った情報を提供したことを知っていた場合、連帯保証人はその保証契約を取り消すことができるというものです。

次に保証人の請求による主たる債務の履行状況に関する情報提供義務ですが、これは居住用であろうと事業用であろうといずれにも適用されます。例えば保証人が賃貸人に今自分が保証している賃借人が滞納していませんか?と聞いたら賃貸人はすぐにその情報提供しなければならないというものです。もしそのような質問があったにもかかわらず答えなかった場合、賃貸人としての義務違反に当たりますので契約の解除や損害賠償が発生する場合があります。

敷金についての定義

敷金については、いかなる名目によるかに問わず、賃料債務その他賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭という定義がなされました。

敷金はいつ返すのかと言う規定については、賃貸人は金銭受け取っている場合において次に挙げるときは賃借人に対して、その受け取った敷金の額から、賃借人に基づいて生じた賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務の額を控除した残額を返還しなければなりません。

修繕義務とその費用

修繕義務は、賃貸人の義務です。賃貸人は契約の目的にふさわしい状態で、常に使用収益させる義務があるからです。ですので、自分が原因を作っていない台風や地震で、ものが壊れたとしても、これは契約の目的を達することが出来るように直さなければなりません。

今回の改正法には賃貸人の責めに帰すべき事由によってその修繕が必要になった時は、賃貸人は修繕義務はないということが明記されました。これは、本来は他人のものですから勝手に手をつけることができないはずなのに一定の要件があれば、賃貸賃借人に修繕権を認めるというものです。どのような場合に賃借人は修繕できるかというと、賃借物の修繕が必要である場合において、次に挙げるときは賃借人はその義務をすることができる。

1賃借人が賃貸人に修繕が必要である旨を通知し、また賃貸人がその旨を知ったにもかかわらず、賃貸人が相当の期間に修繕をしない場合。

2緊急の事情がある時。

賃料減額

賃貸期間中に地震があって、部屋の一部が使えなくなった場合、あるいは風呂が使えなくなった場合、本来価値がなくなった場合に、今まで民法では賃料の減額請求というものを認め、減額請求があったときに初めて賃料の減額が問題とされました。しかし今回の改正では請求がいらない当然減額に変わりました。

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